塗装と季節の関係

4月も半ばに入り、この季節はとても過ごし易い時期ではありますが、私たち塗装業に携わる者としては、逆にとても気を遣う時期でもあります。徐々に暖かくなる一方、「花冷え」や「寒の戻り」の言葉が示すようにまだまだ昼夜寒暖差も大きく、またあと1ヶ月も経てば、ジメジメと鬱陶しい季節がやってきて、不安定な日々が続くためです。

塗料の場合、気温や湿度等の季節要因により、作業性や仕上りに大きく影響するため、(特に屋外で現場塗装する場合)各季節に合わせた各種塗料を設定しています。通年使用できる標準タイプ以外に、シンナーでは春・夏・秋・冬用、また2液型混合系の塗料では、塗料の硬化剤に夏・冬用が一般的には設定されています。(昨今は異常気象の影響もあり、季節と気温や湿度が必ずしも一致しておらず、選定だけでも一苦労ですが。)

これに対して、弊社工場は主に屋内での塗装であるため、ある程度は空調設備等で調整することが可能となりますが、塗装ブースや乾燥設備の周辺では、空気清浄のために排気や給気設備による空気の循環が激しいため、安定した塗装環境を保つことが意外と難しい現実があります。

 さらに、上記で示した各種塗料(シンナー・硬化剤を含む)は、厳密に言えば原料の化学組成等が異なるため、非常にデリケートな各種プラスチックを被塗物のメインとする私たちの製品では、より安定した品質を確保するために、簡単には塗料の種類を変更することもできません。

温度や湿度の管理・記録は勿論のこと、熟練した塗装マンの長年の塗装経験の“技を活かし、かつロボット塗装による一定管理を行いながら、安定した品質を維持するためには最新の注意を払っております。

【生産技術コラム001】2023年4月11日 海老池孝史